笑気麻酔って何ですか?
「笑気吸入鎮静法」といって
産婦人科の無痛分娩にも使用されている、鼻から吸う安全性の高い気体の麻酔です。
笑気麻酔を使うとどんな良いことがありますか?
・歯科治療に際してのお子さんのドキドキを和らげてあげることができます。
・嘔吐反射(おうとはんしゃ:おづきのこと)を和らげてあげることができます。
・痛みを感じにくくなります
(普通の麻酔も併用しますが、その時の痛みも感じにくくなります)
笑気ってどんな気体ですか?
笑気は亜酸化窒素(N2O)という無色で、わずかに甘い気体です。
この気体を吸うと顔面の筋肉が緩み笑っているような表情になります。
(英語ではLaughing Gas といいます)
安全性について教えてください
笑気自体は体内に蓄積したり、分解されて副産物を生み出したりすることなく、そのまま排泄されるので安心です。
安全域が広いのが笑気の特徴で、計算上例え100%の笑気でも麻酔薬としては危険な濃度には達しません。
ですが、それだと窒息してしまうので最低でも酸素を20%混ぜて使用します。
つまり笑気は80%の濃度まで上げることもできますが、通常30%前後で使用します。
笑気自体は安全性の高いガスですが、過去に笑気と酸素を間違えて吸わせてしまったために事故が起こったことがありました。
現在の装置は、酸素は酸素の、笑気は笑気のボンベや管としか接続できない仕組みになっており、そのような事故は起こりえなくなりました。
また笑気は、処置中に酸素が切れると自動的かつ強制的に遮断される安全装置を介して供給されています。
今のところアレルギーの原因となることもまずありません。
笑気を使ってはいけないケースはありますか?
鼻から吸いますので
・鼻が詰まっているお子さん
・泣いてしまって鼻で息をすることができないお子さんには使えません
また鼻で息をせず、ずっとおしゃべりをしているお子さんは効きがよくありません。
(そのため濡れタオルでお口を覆って効きを良くする場合もあります)
禁忌症(きんきしょう)
・体内に閉鎖腔のある疾患(中耳炎・腸閉塞・気胸・ブラと呼ばれる肺の閉鎖腔)をお持ちのお子さん
・過換気症候群
昔と比べると禁忌症が変わってきました。
喘息のお子さんについては、今は絶対禁忌ではないので相談してください。
副鼻腔炎(蓄膿症)・脳性麻痺のお子さんについては相談させてください。
恐怖心が強いのに笑気を使えない場合は治療できませんか?
術後の快適性を考えると笑気が第一選択となりますが、笑気以外にもドキドキを和らげる方法がありますので相談させてください。
どのように行うのですか?
笑気をかける時間が必要となりますのでご予約の10分前までには
来院してください。
1.鼻に専用のマスクを掛け100%の酸素を流します。
口を閉じ、鼻できちんと息ができているか確認します。
(恐怖心の強いお子さんに対しては治療に入る前に、
他のトレーニングも兼ねて笑気のマスクを付けたり、
笑気を吸うトレーニングに来院して頂く場合もあります)
2.笑気の濃度を30%まで上げて行きます。
5分程で効き具合が分かります。
至適濃度には個人差がある(20%〜40%)ので効き具合をみながら濃度を調節します。
笑気にも鎮痛効果はありますが、その後いわゆる普通の麻酔(注射)も行います。
(行わない場合もあります)
3.引き続き笑気の効き具合を観察しながら治療を
行います。
4.治療が終了すれば100%酸素または空気に戻し、笑気が覚めれば終了です。
(通常数分で覚めます)
吸うとどんな気持ちになりますか?
・遠くの方で音がしているような感じ
・気持ちよく酔ったような感じ
・不安が和らいでフワフワとハッピーな感じ
・手足が温かくなったような感じ
・時間の経つのが気にならなくなる感じ
などになります。
*個人差がありますので、総てのお子さんがそう感じるとは限りません
誰にでも効きますか?
残念ながら効き易さには個人差があります。凄く効くお子さんとそうでないお子さんがいます。
鼻で息をすることができるお子さんであれば多かれ少なかれ効果が得られます。
保険が効きますか?
通常のムシ歯の治療や抜歯ならば保険が効きます。
費用は30分で自己負担額は600円程度、1時間でも1000円程度です。
*広島県内にお住まいの乳幼児医療受給者証をお持ちの方であれば、一回の保険診療の総負担額は笑気を用いても500円以内です。
*矯正治療の為の抜歯などに際しては笑気は保険が効きません。
料金はご相談ください。
最後に
ここが笑気の素晴らしい点
笑気を用いても意識はあるのでこちらの声は届きます。
安全性が高い以外にも、他の麻酔と違い血中からの排泄が非常に速いので、吸入を止めると素早くそして快適に覚めることができ、治療終了後数分で帰宅することができる点で優れています。